スポーツ傷害「膝の四つの靭帯について」

走る・ジャンプなどスポーツをする時には下半身の動きは必須です。その中でも、膝はパフォーマンスに大きく関わります。膝は細かく・素早い動きに関係する分、スポーツの世界では怪我のリスクが大きいです。今回はスポーツと膝に関わる怪我についてまとめていきたいと思います。

膝関節とは

膝関節は体重を支え、走る・跳ぶなど運動に中心的な役割を持ちますが、安定性に乏しく、軟部組織が少ないため、膝に対する負荷が多くかかり怪我をしやすい関節です。激しいスポーツをしていない一般人でも膝の痛みに悩まされている人は多いです。膝には4本の靭帯それぞれが膝の負荷を耐えるための役割を持っています。その為、スポーツで損傷する可能性があり「前・後十字靭帯、内・外側側副靭帯」の損傷や断裂などがあります。各々の怪我について少しまとめていこうと思います。

1.前十字靭帯損傷(ACL)

ジャンプの着地後、急な方向転換時や急停止などで受傷することが多く、受傷時に断裂音が鳴る事があります。受賞後早期に関節が腫脹して強い疼痛が発症します。時間が経つと疼痛は軽減しますが、膝崩れなどの不安定感が発生してスポーツ継続が困難になることがあります。受傷の原因としては非接触型と接触型があり、競技にもよりますが非接触型の損傷が多くを占めします。

処置としては保存療法と手術療法があります。保存療法を行なった場合完全に治癒する確率が低く、ある程度の前方不安定感が残存してしまいます。前方不安定感があっても日常生活に支障がないことが多いですが、スポーツをする上では悪影響を及ぼすため、手術をする人も多いです。手術の内容としては、切れた靭帯の代わりの腱を筋肉や別の腱から採取して作成する再腱術が適応されます。材料としては膝蓋腱か半腱様筋腱などを使用する事が多く、目的などに応じて対応します。

術後は徐々に膝の関節可動域を動かしていき、負荷を与えます。復帰まで時間はかかりますが6〜9ヶ月でスポーツ復帰を目標とします。スポーツ復帰した後は、再発予防のため膝関節の単関節エクステンションはもちろん、ストップ動作など下肢全体を利用したトレーニングも必要です。非接触型の受傷機転であるジャンプの着地や急停止には注意が必要です。膝外反と脛骨内旋で受傷することが多いのでスポーツ動作中にそのポジションにならないように注意しましょう。

2.後十字靭帯損傷(PCL)

後十字靭帯は関節内に存在し、膝が後方へ行かないように制御している靭帯です。前十字靭帯と比べて太く・強度があります。受傷機転としては交通事故やスポーツ外傷などで、膝関節屈曲位で脛骨前方に強い外力が加わった際に多いです。症状は前十字靭帯損傷と比べると軽度であることが多く、受傷後もスポーツ活動が継続可能な場合があります。後方不安定性が強い場合は、階段昇降やしゃがみ込み時に不安定感などを訴え場合があります。多少の不安定感はありますが、前十字靭帯と比べて小さいこともあり筋力訓練による保存療法が選択されることが多いです。

脛骨が大腿骨に対して落ち込むのを防ぐ必要があり、大腿四頭筋を中心に膝周りの筋肉強化はもちろん、スポーツ動作を意識した股関節周囲の筋力強化やストップ・ステップ動作を実施する必要があります。第一選択では保存療法を取ることが多いですが、完全断裂など症状によっては再建手術による手術が適応されます。

3.内側側副靱帯(MCL)

膝に大きな外反力が加わって生じ、膝の靭帯損傷の中で最も頻度が高いです。ですが、症状は膝内側の疼痛が主体で不安定感は感じないことが多いです。内側側副靭帯は他の靭帯と比べて大きな靭帯で、膝の外側からのストレス(外反ストレス)を抵抗して、膝の内側部分が開き過ぎるのを防ぎます。受傷機転としては、膝の外側に大きな外力を受けた時や膝が内側に入る(ニーイン)など非接触時にも損傷する可能性があります。

重症度をⅠ〜Ⅲ度に分類し、Ⅰ度損傷では、歩行は可能なため、痛みに応じて関節可動域運動を実施して関節拘縮や筋力低下を予防します。Ⅱ度では1〜2週間ギブスシーネやニーブレスで固定して、可能な範囲で可動域・歩行訓練を行います。その後は膝サポーターを使用しながら痛みに応じて少しずつスポーツ復帰します。Ⅲ度損傷でも基本的には保存療法が多いです。ですが、Ⅲ度損傷の場合は十字靭帯や半月板損傷が合併して手術をする可能性があります。非接触での損傷の場合は下肢設置時の膝外反方向へのストレスを抑制させる必要があります。大腿四頭筋・ハムストリングスの強化はもちろん、膝屈曲設置時に動員される内転筋群の強化も必要になる。

4.外側側副靭帯(LCL)

外側側副靭帯は、膝関節の外側を補強して膝内反を防ぐ役割があります。受傷機転としては膝を内側から外側への外力が加わったときや、膝から下を内側に強く捻った時に発生します。4つの靭帯の中で最も受賞頻度の少ない靭帯と言われていますが、コンタクト系スポーツでは痛めるシーンも多くみられます。

内側側副靭帯と同様に重症度がⅠ〜Ⅲ度に分類され、基本的には保存療法が選択されることが多いです。ですが膝外側副靭帯は単独で損傷することが少なく、膝十字靭帯や半月板損傷などの怪我を合併している可能性があります。保存療法では、痛みや腫れがある程度引くまでは安静に固定して、関節可動域・歩行訓練を実施します。内側側副靭帯同様に大腿四頭筋・ハムストリングなど膝周辺の筋力強化に加えて内転筋や中臀筋など身体を支えるのに重要な筋肉も強化する必要があります。

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今回は膝の四つの靭帯について紹介させていただきました。スポーツの現場で起こりうる怪我なので、最低限の知識を入れておいて怪我をしないように気をつけましょう。特に前十字靭帯は競技生命に大きく関わるのて注意したいですね。

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