スポーツ時に生じる足関節の怪我をまとめてみた

足関節は、常に自分の体重を支える働きがあり、スポーツの局面で身体を動かすことで負荷が大きく、スポーツの複雑な動きに対応するために無意識な動きで怪我に繋がりやすいです。それ以外にもコンタクト系(格闘技・ラグビーなど)では外部からの衝撃により怪我をするリスクが上がります。動きの基盤となる下半身に傷害を持つと、将来的なプレーの低下が生じる恐れがあるので注意する必要があります。今回はスポーツ場面から考えられる足関節の怪我の種類と原因についてまとめていきたいと思います。

下半身(足関節)の傷害が生じる主な原因

1.ひねるなど関節が過剰に引き伸ばされた時 2.過剰な負荷が生じた時 3.継続的な負荷からの疲労 4.大きな外力などが考えられます

1.の場合はダッシュ動作の切り返しやジャンプの瞬間での移動など急激な方向転換でよく見られます。格闘技の場合は関節技を決められた状態です。腱や靭帯などの周辺組織が損傷するケースが多く、大きな力が伝わると骨折や脱臼などの恐れもあります
2.の場合は関節が可動域の範囲内で活動している場合でも大きな負荷が急激にかかった状態です。重症な場合では筋断裂が生じる可能性があります
3.は慢性的な疲労です。下半身は日常生活でも常に負荷が生じています。そこに、同じ操作を繰り返す運動などを行うことで、特定の部位に継続的な負荷が大きくなります。腱や靭帯などが炎症する恐れがあります
4.ではコンタクトスポーツによる大きな衝撃で生じるケースです。打撲から骨折・脱臼・靭帯の断裂など外力の大きさにより重症度は異なります。

それぞれのスポーツ競技により怪我の生じやすい部位や発症原因は異なります。自分の競技では、どのような怪我が生じやすいか理解して、怪我をしないための身体の使い方や強化をすることは非常に大事です。

足部・足関節に起こりやすいスポーツ傷害

次に足部・足関節に生じる怪我をいくつかまとめていきたいと思います。

1.足関節捻挫

足関節捻挫はスポーツによる急性外傷として最も頻度が高い傷害です。足関節は脛骨・腓骨・距骨の3つの骨により構成されており、外側(腓骨側)は前距腓靭帯・後距腓靭帯・踵腓靭帯で囲まれています。内側(脛骨側)は三角靭帯で守られています。

足関節は外反よりも内反方向可動性があります。その為、内反捻挫により足関節外側靭帯の損傷が多発します。外側の靭帯では1. 前距腓靭帯→2. 踵腓靭帯→ 3.後距腓靭帯の順に損傷・断裂しやすくなります。

内側捻挫と比較して外側捻挫は非常に少ない症例です。ですが、サッカーなどスパイクを履いて地面に固定されている状態では外側捻挫のリスクが高くなります。ですが基本的には足関節内側の靭帯(三角靭帯)は3本の靭帯が隣接して支えているため強固に安定しているので、発症リスクは内反と比較して少ないです。

足関節捻挫受傷後は患部の鎮静化が重要で、RICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上)が基本的です。最近ではPOLICE(保護・最適負荷・冷却・圧迫・挙上)が提唱されていいて、捻挫の重症度に応じて早期から荷重をかけるようにしています。

足関節捻挫は重症度分類

足関節捻挫は重症度を3段階に分類します。

第Ⅰ度(軽症)では靭帯のごく一部の断裂で、軽度の腫れと圧痛がある程度です。基本的にはRICE処置を行なった後に2〜3日ほどテーピングやサポーターで痛みが和らぐまで安静にします。

第II度(中等度)では靭帯の断裂は不完全で関節の不安定性はあまり見られないが、広範囲で腫れと圧痛が生じます。第Ⅱ度では外固定(シーネ・ギブスなど)をして2〜3週間程の安静が必要です

第Ⅲ度(重症)では靭帯が完全に断裂し、強い腫れ・圧痛があり関節の不安定性がみられます。不安定性が強い場合には手術を行う場合もあります。
「保存療法」では腫れが引くまでギブス・シーネで3週間ほど固定します。その後、装具を利用してリハビリを行います。スポーツ復帰は約3ヶ月が目安です。「手術療法」では切れた靭帯を縫合します。術後は2〜3週間のギブス固定が必要で、その後の保存療法を同じくリハビリを行います。

2.足部骨折

捻挫を生じる際に靭帯だけでなく骨折や脱臼などが発症するケースも存在します。今回はその時に生じる一例をまとめてみました。

1.距骨外側突起骨折
→捻挫の腫れや痛みが引いても、体重をかけたり、外側に足首を反らすとかかと外側の奥に痛みが生じます。

2.距骨滑車骨軟骨傷害
→捻挫後に長期にかけて痛みが続く最も多い原因の一つです。安静時に足首の奥が急に痛くなります。レントデンでの診断が難しく、見逃されることが多いのが特徴です。

3.距骨後突起骨折(シェファード骨折)
足関節底屈を繰り返す事で生じる距骨の後方突起の骨折です。足関節の後方が痛み、アキレス腱に圧痛や足関節底屈時に疼痛が生じます

4.フットボーラーズ・アンクル
サッカー選手に多く発生する障害で、足関節の底背屈が強制された状態で骨同士が衝突して生じるスポーツ障害です。距骨に骨棘ができ、痛みが生じてしまいます。

5.腓骨筋腱脱臼
急激に足関節を背屈させる動作の時に発症するリスクがある。足を踏ん張る時に、腓骨筋が脱臼をして足首外側に痛みが生じます。

最後に

スポーツ現場で足首の捻挫はよく発生します。ただの捻挫だからと、疎かにせずに早急な対応とリハビリを心掛けましょう。安静にしても改善が見られない場合は骨折なども視野に入れて、病院で診断をしてもらいたいですね。

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