筆者は8/28に総合格闘技(DEEP)の試合がありそれに向けて2ヶ月間程減量をしていました。今回は格闘技独特の減量方法を筆者の体験をもとに紹介していきたいと思います。
格闘技は基本的に前日に計量があるため、ボディビルとは異なる減量方法をしていきます。その中でも代表的な手段として水抜きがあります。水抜きとは数時間で3〜7kg程体内の水分を抜いて、一時的に体重を落とすテクニックです。
水抜きのメリットとしては、数キロ単位を一日もかけずに落とせることと、水を抜いているだけなのですぐに体重を戻せることです。格闘技などのコンタクト系スポーツでは、体重が重い事でのメリットを感じやすいです。計量時に水を抜いて体重をクリアした後に、試合当日に5〜10kgも体重を増やす選手が多いです。その為、水をたくさん抜いて当日にガツンと体重増やせばいいじゃんと安易に考える人もいます。
ですが水抜きにはデメリットも多く存在します。一番大きなデメリットとして、水を抜いた状態は身体にとってダメージが大きい事です。水分は生きていくために重要な物です。水を抜くのは無理やり熱中症に持っていくような物なので、基本的には数%でも水分が抜けると身体がだるくなります。身体から20%失うと死ぬ恐れがあると言われるほどです。
20%を体重で計算すると70kgの選手ならばおおよそ−14kgと言ったところです。さすがにそこまで落とす人はいませんが、そのぐらい危険な行為だと認識してもらえたらと思います。ちなみに参考までに5〜7%で多くて10%の水抜きをする選手が多いです。正直、5%でもしんどいので計量がない方は全くお勧めしないので実践しないでください。また、水抜きの行為は腎臓など内臓へのダメージも計り知れません。体重の増減が激しく、消化器官がフルに活動しないといけないので短期間での急激な水抜きはできるだけ控えたいです。
若い時と比べて水が落ちにくくなったという、原因の一つに内臓器官の疲労や衰えも考えられます。短期的な身体のダメージばかり考えがちですが、長期的なダメージも考えて水抜きの幅を考えていく必要があります。では、その水抜きを考慮した上でどのような減量方法を実施したのか簡単にまとめていきたいと思います。
筆者は減量する前は88〜94kgほど体重があり、試合に向けて少しずつ落としていきました。試合体重は77.1kg(ウェルター級)で水抜き前の体重が82kg(5kgほどで水抜き)で考えています。6〜7kgは頑張れば水抜きできると思いますが水抜き時に体調が優れない場合などを考慮して5kgで計算しています。体調管理は基本的な事ですが、万が一水抜き時に風邪を引いたりしていると大変なので。今回、減量開始時は90kgほどでスタートしました。①最初の1ヶ月間(6/30→7/30)で90kg→86kgほど落として、②3週間(7/30→8/21)で86kg→84kg、③水抜き前までに(8/21→8/26)に84→82kg落として、④計量日に77.1kgでクリアといった計画で減量を考えていました。
今回は調整方法のミスがあり、水抜き前の体重が83kgと1kgオーバーしてしまいました。1kgなので問題ないと思っていましたが、水抜き前に必要な準備不足が重なり過去最大級に絶不調な状態に陥ってしまいました。水抜き前に必要な準備を紹介しつつ今回の失敗談もまとめていきたいと思います
まず大前提として、どれだけ楽に水分を体外に排出できるかが水抜きのポイントになってきます。水分を排出するのは基本的に汗と排尿です。この2つを利用して水分を落としていく必要があります。
その準備として一つ目に「塩分カット」と呼ばれるものがあります。ご存じの方が多いと思いますが、塩(ナトリウム)は水分を蓄える作用があります。言い方を変えると身体を浮腫みさせます。体外に水分を出したい場合は浮腫みをなくして水分が身体に蓄えられないようにする必要があります。そこで、水抜き前に塩を調整して最終は塩分を抜いていくテクニックです。
個別性はありますが基本的には水抜き前日から減らしていき、当日には塩分を完璧にカットしていきます。もっと長い期間で塩分を抜く人もいますが、ナトリウムは血圧の調整や筋肉の働きなど身体にとって不可欠な栄養素なので、長期間の塩分カットは身体に大きなダメージを与えます。塩分カットは直前まで控えた方が無難ではあります。
そして、塩分を効率よく体外に排出させるためにカリウムを多く摂取していきます。ナトリウムとカリウムはそれぞれ細胞内と細胞外に存在します。カリウムを多く摂取することで細胞外に多く存在するカリウムが細胞内に移動して、細胞内にあるナトリウムが細胞外へと移動します。そのため、水抜き中はナトリウムをできるだけ再妨害に排出したいのでカリウムを多く摂取していきます。ですがカリウムは多量摂取では心臓に負担が大きくなってしまいます。普通の食事で過剰摂取になることは稀ですが、カリウム単品のサプリを摂取する人は過剰摂取に注意しましょう。ちなみに国内では危険なため、カリウム単品のサプリメントは販売されていません。
2つ目の準備として「ウォーターローディング」と呼ばれる方法です。聞きなれないワードですが、簡単に説明すると水抜き前の期間に大量に水を飲むことで、水抜き時に水を出しやすくするテクニックです。こちらの詳細は以前に別のブログで投稿したので興味ある方はご覧ください。
3つ目の準備として「サウナ・半身浴などを水抜き前に定期的に通う」方法です。水抜きは汗を効率よくだすことが一番のポイントになります。普段から汗を出す習慣を作ることも水抜きを効率よくするためには重要な事です。また、サウナや半身浴などの高熱状態に慣れておくにも、水抜き前から定期的に実施しておくのは大事なことです。個人差があるので、事前に準備としてサウナ・半身浴をしなくてもいい人もいます。ですが、水抜き時に汗が出にくい方や長時間のサウナ・半身浴が苦手な方は準備するのをお勧めします。
基本的な準備としてはこの3つが主流で、あとはサウナ・半身浴だけで落とす方や、サウナスーツと汗だしワセリンを塗りランニングや運動などをして落とす方など様々です。どの水抜き方法でも言えることは、できるだけ楽に水を抜くためには事前準備が大事だということです。では、これらの予備知識を踏まえて、筆者が今回失敗した経験談を少しまとめていきたいと思います
まず計量の2週間前に体調を崩してしまいました。減量中は免疫力が低下しているのでコンディションにはかなり気をつけているのですが今回はガッツリと体調を崩してしまいました。2日間の熱と腹痛に覆われて、喉が痛かったので1週間は完全安で残り1週間で少しずつ身体を動かしてなんとか調整できました。この時は体調を崩したのが、試合2週間前で本当に安心しました。
ですが、体調を崩したことで予定が崩れ事前のサウナや半身浴にほとんど行けずに、水分も頑張って摂取しようと思っても喉が痛いのであまり飲めませんでした。1週間前には体調としては問題なかったのですが、ほとんど動いてなかったので呼吸が浅くなり身体がガチガチに凝り固まっていました。2つの準備があまりできず、水抜き当日を迎えました。選手によっては計量当日の4〜5時間前に一気に抜く人がいますが、失敗するのが怖いので、私は前日にある程度落としておいて、当日の朝に1〜2kgほど体重を落とすスタイルでやっています。今回は-6kgだから前日に-4kg頑張ればいけるなと軽い気持ちでした。
筆者は先にサウナスーツを着てランニング・シャドーをしてサウナ or 半身浴で体重を落とすタイプです。今回も最初はサウナスーツを着てランニングをしました。60分間ダラダラとランニングとウォーキングを行い1.5kgほど落ちました。もう少し落ちている予定でしたが、ランニング中に身体がしんどくなりウォーキングに変更したためだと思います。
その後に半身浴を行いました。約42°のお湯にエプソムソルトと呼ばれ発汗を促進してくれる入浴剤を入れて実施します。15分×2setをする予定でしたが、汗の排出が悪く心拍数が異常に高く長時間の入浴ができませんでした。普段ならば問題ないのですが、今回は事前準備でサウナ・半身浴ができなかった事が影響に出てきました。足湯だけなどで工夫してなんとか1kgは落とすことができました。ですが、全身の肌がお風呂により霜焼け状態になり、これ以上の長湯は厳しいと判断しました。その為、最低でも前日に残り1.5kg落としたかったので半身浴をやめて近くのサウナに行くことにしました。
サウナは長時間入れたのですが、いつもより汗の勢いが悪かったです。ですが水分は体内に溜まっている感じはしました。これも今回の準備不足であるウォーターローディングが原因だなと感じました。それでもなんとか頑張り、1kgは落とすことができました。後は、計量当日に頑張って落とす予定でしたが長時間のサウナ・半身浴の影響で身体が熱った状態で睡眠がいっさい取れませんでしたが、睡眠サプリで2時間ほど無理やり睡眠をとりました。思った以上に体力が奪われていたのでサウナ・半身浴に入った瞬間に目眩が生じて危なかったです。
水抜きと共に、浣腸を数時間に分けて3回入れました。浣腸で意外と200gは出ます。最後は気合いを振り絞りなんとかクリアできました。計量まで常にフラフラで最悪のコンディションでした。今までは計画通りに準備をしていたので、水抜き5kgも楽で余裕がありました。事前準備ができず体調を崩すとこんなにしんどく辛いのだなと勉強になりました。
経験談が長くなってしまいましたが、体調を崩した場合の対象方と計画的水拭きをする事の重要性を一人でも多くの選手に伝われば嬉しいなと思いまとめてみました。
この記事へのコメントはありません。